戸定の昆虫 2014 隠岐の島 特別編


2014年7〜9月へ


  兵庫と島根の試験場の大切な友人達と 隠岐の島に出かけました!


7月 24日(木)

 隠岐へは船で出ます。一緒に行く友人達ですが、ご家族の都合で島根のNさんは
あとから合流します。
 
 埠頭で、これからフェリーに乗り込みます。
 
 フェリーから、隠岐の島が見えてきました!
 
 着いてから早速散策します。 海辺に水田があり何かいないかと見ましたら・・・
 
 イネシンガレセンチュウの入ったあとだと教えてもらいました。初めて見ました!後日この写真を
教科書に使いました。
 またこの状況は・・・
 
 ニカメイガによる被害だそうで、これも初めて見るので勉強になりました。
 他の場所で昆虫を探すと・・・
 
 キイトトンボがいました!このときはまだトンボに詳しくなく、いただけで終えてしまいましたが、時刻
的には繁殖行動も終えている午後2時なので、彼らにとってはまったりした時間帯なのでしょう・・・もっと
探せば良かったと、後日思いましたが・・・
 
 少し遠くに滝が見える見事な景観でしたので、つい・・・
 
 フキバッタがいました。 このバッタも翅が短いから移動しないと言う理由で?種が分けられたので
ヤマトフキバッタなんですかね・・・
  カメムシもいました
 
 ホシハラビロヘリカメムシです。クズを好むようでこの個体もクズにいました。都市部も多い
そうなので、隠岐に特有というものではありません。
 夕食後、ライトトラップによる夜間採集を行いました。
 
 ツノトンボが来ましたが2種類いました! こちらは和名も「ツノトンボ」だと思います。
 
 違う角度から撮影しましたが、複眼が上下に分かれています!初めて気が付きました。

 もう1種、背面も黒いのが来ましたが・・・
 
 オキナワツノトンボに似ているけど、分布は南西諸島になっているので 違います。
そうなるとオオツノトンボは灰色の腹部なので該当種がいません。もしかして未記載種?
連れて帰れば良かった!?
 
 モンクロシャチホコです。千葉では次の世代とかで農薬試験をします、職業病だ(笑)

 
 オオエグリシャチホコのようです。独特の翅の形をしていますね。しかも翅の
内側に当たる上部に毛がたくさん生えており、これを飾冠毛と呼ぶようです。
キンウワバ類の冠毛は胸部背面に生えているので、胸部の保温とかにも役立ち
そうですが、翅にある場合はそのような効果ではなく、その名のとおり飾り
なんですかね・・・
  シャチホコガといえば・・・
 
 ムラサキシャチホコガいました!いつ見てもこの翅の模様はカールしている
ようにしか見えません・・・
 
 遠目には、枯れ葉が丸まっているようにしか見えないですね・・・
 
 こう写すと、平面であることが分かりますかね! これはうまく撮れた気がします(笑)
 
 これはヤガの仲間だと思うのですが、ちょっとわかりません・・・
 
 斑紋からするとクロシオキシタバのようです。開いてくれなかったので、後翅の斑紋等を確認
できませんでしたが・・・
 
 これはオオエグリバですね。 久々に見た気がします。
 
 カラスヨトウの仲間でしたが、白い環状紋に黒点が見られないので、その特徴からすると
ナンカイカラスヨトウのようです。傷みのない個体でした。
 
 うーん 、これはシロオビヨトウと思われますが、図鑑の記述と少し色合いが異なるのと
分布ももう少し北だったり高地だったりするので・・・でも隠岐だからなのか・・・こうして
調べると興味深いです。
 
 学生時代にライトトラップすると結構来ていた「日の丸蛾」ことマルモンシロガでしたが、
似た種がいることは図鑑で知っていたものの、初めて見ました。コマルモンシロガです。
でも分布は紀伊半島以西で、分布地として隠岐も入っており、しかも図鑑の個体が隠岐だった
ので、隠岐には多いのかもしれませんが、見つけて嬉しくなりました。
 目的はキンウワバだったのですが、全く来ませんでした・・・残念・・・

 
 スズメガも何種か来ました。これはコスズメですね。
 
 これはウンモンスズメです。やや傷んでいるのか緑色の部分が少ないというか擦れている気がします。
 
 シモフリスズメです。この個体は痛みがないですね。
 
 これはクルマスズメです。初めて見ました。個体変異も多いようですが、いた個体は色が濃く
背面中央を通る白い筋が目だって美しい個体群だと感じました。
 
 甲虫も来ているので紹介します。 
 
 千葉でも見られるクロカミキリですね。トラップにもいましたが、近くの樹の個体を撮影(笑)
 
 これはミヤマカミキリのようです。大型の甲虫だとテンションも上がります。
  カミキリは結構いて
 
 これは冗談かと思う名前ですが、ホソカミキリです。カミキリムシはどれも細いイメージですが、
その名を冠してしまうカミキリムシもいるんですね(笑)
 
 アオスジカミキリです。カミキリムシにはいろいろな配色の種がいますが、
この種も独特な配色ですね。
 
 樹にとまった個体が 飛び立つところでしたが、やや暗くて残念・・・近くにネムノキが
あったのでたくさん発生しているようですね。
 今日の最後は、初めて見たシデムシ
 
 複眼が大きくて黒いこの種はクロシデムシだそうです。夜間に活動する種なんですかね・・・
今回初めて見ました。
 
 戸定ではオオヒラタシデムシばかり見ているので、他のシデムシを見つけるとテンション上がります。  

7月 25日(金)

 今日も1日観察や夜間中心にウワバ採り?の予定・・・
 
 サクラの樹の低いところにいたニイニイゼミです。
 
 カメムシ目であることは分かりますが、眼が上に付いているとかユーモラスな形態はウンカかなと
思って調べたらヨスジヒシウンカという種でした。そう珍しくないようですが、初めて見ましたし、
その後も見たことがありません・・・
 
 これはシロヘリハラビロカメムシのようです。カメムシの場合はトンボのように真横から撮ると
むしろ種の同定が難しくなりますね。真上から撮影するのが王道のようです。気をつけないと・・・
 
 図鑑を見ても出ていないのでトラカミキリだろうと調べてみたら、フタオビミドリトラカミキリ
のようですね。で、図鑑を見たら標本だと黒くなっていて同じ種とは思えませんでした(笑)
分布域は広く珍しい種類ではないようですが、これまで意識していませんでした。
 トラカミキリはもう1種
 
 これはこれまでも見たことがあるヨツスジトラカミキリです。トラカミキリもいろいろ
きれいな種類が多いですね。  
 
 ノコギリカミキリのメスですかね?オスよりも大柄で触角が短いので別種かと思う
ほどでした(笑)
 
 ネムノキに孔があいていてそこにハチがいました!
 
 ヒメウマノオバチです。ウマノオバチはまだ見たこともないですが、それよりも
産卵管が短いとはいえ、バランスの取れた体型です。
 
 枯れた部位が多かったので、もしかして産卵も見られるのではないかと 観察しました。
 
 この孔から匂いがするようで、かなりの時間じっとしていました。
 
 その後産卵管を射しこみ始めました。
 
 しっかり射しこんでいるので産卵したようですが、 この中にアオスジカミキリの
幼虫がいるんですかね?孔の大きさからしたら脱出口のようにも見えましたが、
この孔への注目度が高かったので、中にいるんでしょうね・・・アオスジカミキリも
何頭か見られるので、この島はいい観察場所です。
 
 これがヒメウマノオバチの寄主であるアオスジカミキリです。今日もライトに来ました。
 
  モンシロチョウが交尾していたので、撮影しましたが、上の個体も少し黒っぽいから
あれ?と思いましたけど、メスが黄色っぽいので下がメスです。
 夕方になり暗くなりましたが・・・
 
 チャバネアオカメムシです。赤いのはダニの仲間のようですが、この位置取りだと飛翔時にも
ふるい落とされない場所だと思うので、さすがだと思いました。
 
 ライトトラップの昆虫
 
 これはオオクモヘリカメムシですね。彼らの場合は、出す匂いは青リンゴの香りなので是非体験して
ほしいですが、似た形のものもいますから、間違って触ったら悲劇かもしれないので、詳しい方の
指導の下お触りください。 
 
 エサキモンキツノカメムシもライトに来ました。
 
 こちらはヒメホシカメムシです。生態写真ではないものの背景が白いと昆虫の姿はよくわかります。
 
 樹皮とかにいたら目立たないのにこうしてトラップに来ると目立ってしまうミミズクです。
この突起は植物体への擬態以外にも役割があるのか、気になります。

 昨日はツノトンボでしたが、今日はウスバカゲロウがいました。
 
 図鑑にもあまり載っていないので種名はわからないかと思いましたが、調べてみたら
コカスリウスバカゲロウのようです。ウスバカゲロウの仲間もいろいろ調べたいものです。
 
 
 これはサビカミキリのようです。カミキリムシも極まると楽しそうです・・・
 
 これはヤツメカミキリです。やや色が赤っぽいのは変異ですかね・・・
 
 触角が長いので体が小さくなっていますが 、シラフヒゲナガカミキリです。体全体を入れたい
ので、大きく出さなくてすいません。
 
 
 真横から撮ってしまっていますが、オオフタモンウバタマコメツキです。右はは真上からですが
オオクシヒゲコメツキのようです。触角がきれいに揃い、標本写真のようです。

  7月 26日(土)

 活動も今日一日なので、いろいろ観察したいものですが、今日は夜間採集はない予定です。
 
 チョウをあまり写していませんでした(笑)ヒメウラナミジャノメです。
 
 メイガのとまり方なので調べたら、ウスオビトガリメイガ のようです。寄主植物は未知だから
研究したくなります。2020年7月31日に近縁種のキオビトガリメイガも撮影しています。
 
 キリギリスがいました。この場所なのでニシキリギリスですね。
 葉を食べているツユムシの幼虫がいました。
 
 ストロボに反応して食べるのをやめましたが、下側の穴が食べあとになります。
体色からアシグロツユムシの若虫と思います。
 
 マダラバッタと思いますが、茶褐色の環境に見事に適応していますね。
 
 これはミカドフキバッタのようです。小さいからオスのようですね。
 
 フキバッタもいろいろ探したくなると思ったら、こちらは黒い帯が 胸部にかからないので
ヤマトフキバッタのようです。成虫でも翅がこんなに短いのは興味深いですが、飛翔をやめて
跳躍に特化させた理由を知りたいものです。
  カメムシもいくつか見られました。
 
 これはキバラヘリカメムシですね。脚の白色部分と黄色が鮮やかですが、胸部に
2匹の寄生性のダニ(朱色)が付いていました。また翅や脚に白いものが付いていました
けど、これは寄生者ではなくて、近くにいたアオバハゴロモの幼虫の分泌物が付いた
のだと思います。
 
 これが近くにいたアオバハゴロモです。この中に幼虫が5匹います。
 
 これは前も見つけたホシハラビロヘリカメムシのようですね。
 
 交尾している個体も見られました。
 
 エビイロカメムシの幼虫です。独特な体色ですね。
 
 顔の斑紋からカオマダラクサカゲロウのようです。
 
 サビキコリがいました。彼らはあちらこちらで見かけます。
 
 クズにはシロコブゾウムシもいました。もう夕方で、宿(コテージのような所)に入りましたが、
突然の停電で大変でした。でもアウトドアの達人がいたおかげで何の問題もなく夕食がつくれたので
快適に過ごし、寝る前には解消されたためエアコンの中で寝ることも可能でした。
 
  7月 27日(日)

 今日は半日活動して、船で戻り、そのまま飛行機で帰りました。
 
 昨日からの繋がりでやや黒みが強いシロコブゾウムシです。
 
 キタキチョウがいました。 きれいな夏型のメスです。
 
 ノイバラに産み付けられていた卵塊だがオビカレハぐらいしか浮かばないものの、調べたら
どうもオビカレハの卵塊のようでもある・・・産卵時期も一致しているので多分そうなんでしょう。
少し意外な出会いでした。
 
 最後にマイマイカブリが見られました。久々に見ました。隠岐の島の個体群は亜種になっていて、
オキマイマイカブリと呼ばれています。頭部が狭いのはその地域の餌であるカタツムリの大きさに
適応しているようで、隠岐のものは他で見た見た個体より細い気がします。
 
 口器のヒゲの先端が赤いのを初めて知りました。他の亜種もそうなのか
気になります。
 
 ということでいろいろ楽しんだツアーも終わりました。
 
 


2014年7〜9月へ