「戸定の昆虫」2000年6月からスタートしました。

  最初のうちはこまめにアップしていましたが,だんだん間隔があいていて恥ずかしい限りです 。
  ページは少し長いですが,気が向いたら下へ辿ってください。

 注)スタート時は、まだデジカメではなく、フィルムの一眼レフでした(Nikon F3)。したがって、
フィルムが現像されてスライドになり、それをフィルムスキャンしてアップしていたので、撮影時と
サイトに載せるまでにタイムラグがありました。
 だから、撮影時の高まりがすっかり冷めているので、更新はかなり気合いが必要でした・・・。


 2000年6月1日
 今日は全学一斉の草刈り日です。あちこちで草刈機の音やにぎやかな声が聞こえる中、外にでてみると、久々にアサギマダラ
Parantica sita
の姿を見ました。写真を撮ってくださいというぐらいに低いところにとまってくれましたが、あいにくカメラを
持っていないために泣く泣くさよならしました。

 その後カメラを持ってあたりを見て回りましたが、ダイミョウセセリDaimio tethysしか撮せませんでした。その後農場の奥で
占有行動をしているサトキマダラヒカゲ Neope goschkevitschii に出くわしました。数匹でなわばり争いしており興味深い光景でした。

    
 ダイミョウセセリ(右2000.6.) 

 ホソヒラタアブが構内にかなり見られます。幼虫がアブラムシを捕食するので、普通に見られる昆虫の一つです。成虫はあちら
こちらでホバリングしていて観察などをしていても至る所に見られます。前から成虫の飛翔時の写真を撮りたいと思っていたの
ですが、一昨年撮ることができました。でもホバリングしている翅を写し込むのは無理ですね。

 
 ホソヒラタアブ 

 2000年6月5日
  
昨日(6月4日)は世間一般では虫歯予防デーですが、昆虫の関係者ではそのまま「むし」の日です。家の近くを散歩しましたが、
 大きなエノキの木とクヌギが隣接しているところがありまして、ゴマダラチョウHestina japonicaが数匹飛んでいました。学内でも
 その姿を見かけます。アゲハチョウより少し小振りで、飛んでいるときにも黒と白が混ざっているように見えます。
 そして滑空するような飛翔をします。昔だったらオオムラサキとかいたのかもしれませんが、今では見られません。

   
   ゴマダラチョウ(Matsudo '99) 

 2000年6月22日

  すっかり時が経ちましたが、もう6月も中旬を過ぎて、驚きです。梅雨の中休みも今日までみたいなので、外をまわりましたら、
 いろいろな昆虫たちに会えました。写真は来週できるので、今日は今ある写真から紹介します。昆虫写真はデジカメでも撮れます
 かねぇ。一度挑戦してみますか・・・。(注:当時はまだ普通の一眼レフカメラでの撮影でした)
  研究室の圃場付近にベニシジミLycaena phlaeasが見られました。派手なのか地味なのか意見の分かれるチョウですね。

   
   ベニシジミ(Matsudo, '98) 

  ふと手を見たらキイロテントウがとまっていました。小さくて真っ黄色のテントウムシですが、ウドンコ病などの菌を食べる
 食菌性のテントウムシです。この菌食という食性はアブラムシなどを食べる肉食から変化したそうですが、昆虫の適応力に感心
 する一例です。
   
   キイロテントウ(Matsudo, '98) 

 2000年6月27日

  写真ができた(注:フィルムを現像して、スライドになったということです)ので、22日のものをアップします。まずは
 姿はハチにしか思えませんが、蛾の仲間であるブドウスカシバです。飛ぶときもハチとしか思えないは音を立てたりする強者です。
 こうやってハチに見せかけ鳥などの敵を欺く擬態も昆虫での驚きの一つです。

   
   ブドウスカシバ 

  キタテハ Polygonia c-aureum が2匹、寄り添っていました。このまま間の形でじっとしていたので、これからどうなったのかは
 不明ですが、交尾前のディスプレイなのでしょうか?考えているうちに飛び去りました。
   
   キタテハ 

 クマバチが吸蜜しています。今は園芸学部のあちこちにあるハコベホオズキの蜜を吸っています。体が大きいし、クマンバチ
という方言とかでスズメバチと混同されていますが、人を刺すようなことはほとんどありません。シャッタースピードの関係で
翅は止まりません。
 
 クマバチ 

 シャクガの仲間が休んでいました。思わず写真に撮りましたが、種名がわかりません。調べてみたら、ツマジロエダシャク
いう種でした。幼虫はクスノキにつくので、園芸学部には餌が豊富にあるのでした。
 
 ツマジロエダシャク 

  2000年 8月 1日

 7月からずーっと梅雨の晴れ間でしたが、そのまま梅雨も明けてしまいましたね。結局忙しく7月はアップできませんでした。
今月は国際昆虫学会(ブラジル)出席のためにやはり忙しいですが、7月に撮った写真を少し紹介します。

  アシナガバエの仲間
 この美しいハエはアシナガバエの仲間ですが、クズの葉に止まっていてなわばりを主張しているようでした。とても小さいので
接写リングを使用しましたが、それでもまだ小さいです。

 同じくクズの葉にいるこちらはコフキゾウムシです。これはオスですが、一回り大きいメスと一緒にいる個体も多いです。
写真を撮ろうと近づくと葉の裏に隠れてしまいます。
 
 コフキゾウムシ

 構内にはノコギリクワガタやカブトムシも結構いるのですが、ノコギリカミキリに出会いました。その名のとおり触角が
ノコギリ状の形しています。カミキリムシも構内にはいろいろ住んでいます。機会を改めて紹介します。
 
 ノコギリカミキリ

 今月になるとバッタたちも成虫になります。このオンブバッタはまだ小さい幼虫ですが、その名のとおりのオンブ姿を
もう少しで見られます。
 
 オンブバッタ幼虫

 毎日暑い日が続きます。日本の夏はセミでしょう。園芸学部でもニイニイゼミ、ヒグラシから始まり、今はミンミンゼミと
このアブラゼミが大合唱です。良く知られているように長い土中での幼虫時代を過ごしてやっと地上に出てきて一生懸命鳴いて
いるのですから、うるさがらないでくださいね。
 
 アブラゼミ

2000年 8月12日

 下のハチは狩人蜂の仲間で、スズバチといいます。名前の由来は彼女が作る土鈴に似た巣の形状からきています。巣の
材料は土と彼女の唾液をこね回したものです。写真のようにいわゆる青虫や芋虫と呼ばれる(主に蛾などの)幼虫類に
麻酔をかけて、この巣部屋に運び入れます。何匹か運び入れると卵を産んでふたをします。そんな小さな巣部屋をいくつか
作って、最後に全体を粗い土で覆い、土鈴型の巣が完成です。この巣は7個の部屋からできていました。ファーブルの心を
捉えた狩人蜂の仲間も園芸には何種か生息しています。巣の情報を提供してくださった付属図書館の高野さんに感謝します。
 
スズバチ(小部屋を作り(左)その小部屋に幼虫を運び入れるところ)

 樹木を観察しているとカミキリムシの脱出口があったり、いろいろな昆虫類に会うことができますが、キマワリもそんな
身近な昆虫の一種です。幹の周りを慌ただしく動き回る姿は非常に可愛らしい感じがします。

キマワリ

 2000年 9月11日

  1ヶ月ぶりですが、この間にブラジルイグアスの滝で行われた第21回国際昆虫学会に参加してきました。そのレポートを
 特別編としてお届けいたします。ご覧くださいませ。9月15〜17日の昆虫学会終了後、秋の写真なども公開できればと思います。

   国際昆虫学会レポート  イグアスの滝と自然の紹介

 2000年10月31日

  しばらく更新しないうちに季節は秋から冬へと動いています。慌ただしく過ごしているうちに今年もあと2ヶ月になってしまい
 ました。大学も修論や卒論の追い込みに入ります。冬はあまり更新できそうにないですが、何か見つけたら更新することにいたし
 ましょう。情報なども歓迎します。というわけでこの2ヶ月ほどの写真です。

 ツバキやサザンカにつく害虫といえばチャドクガがあげられますね。その名のとおり触ったりすると“毒をもつ”刺毛により
痛がゆい発疹がでます。しかしこのせいで皆さんはあまりじっくりと幼虫を観察したことがないのでは?下のとおりきれいに
整列している姿はまた美しくもあります。彼らが集合しているのは集団によって毒を持っていることを天敵に分からせる意味も
ありますが、実は単独生活では生育が悪くなってしまうのです。接触刺激により仲間(兄弟)がいると安心するのでしょうか?
 
 チャドクガ 2000.9

 カマキリは昔から好きな昆虫です。子供の頃は大量に飼育して親に怒られたものです。彼らは生きた餌しか食べないので、
30匹も飼っていた私は学校から帰るとすぐに餌のバッタを捕りに出かけてしまい、60匹取れるまで戻らなかったのです
から・・・。結局はその数を大幅に減らして成虫まで育てました。もう今は成虫が卵を産んでいますが、右のオオカマキリと
思われる幼虫は無事に成虫になったのでしょうかねぇ・・・。

 
 オオカマキリ(?)の幼虫 2000. 9

 このところの冷え込みでアゲハチョウの類はもう見られなくなりました。今は次世代の幼虫が蛹になって
いるところです。先日農場からいただいたキアゲハの幼虫君たちは皆私の部屋で蛹になったみたいで す 。
どうしてわからないかというと、チョウやガの幼虫は蛹となる良い場所を求めて蛹化前に移動する場合が
多く(wandering:歩き回る といいます)このために飼育していた箱を捨てて、どこかに行ってしまった
のです。道路を横断している芋虫や毛虫を見たことはありませんか?彼らは食べ物が無くてさまよってい
るのではなく、蛹となる場所(主に他の樹や土中)を探しているのです。
 そんな秋の一日休んでいる昆虫を見つけました。左のアオスジアゲハは日向ぼっこしていました。翅が
切れているのは鳥に狙われたのかもしれません。右のハエの一種は赤い眼が妙にきれいで印象に残りました。

  
アオスジアゲハ         ハエの一種        2000. 9

 2000年12月 1日

  私にとっては今年もあっという間に終わってしまう気がします。皆さんはどうでしょうか?もしかしたら
 これで今年は最後の写真かもしれませんが、冬の昆虫編です。
  
今の時期でも見ようと思えば様々な昆虫に出会えることがあります。構内を歩いているとキクの花が
 たくさん咲いている場所があります。暖かな日中に行ってみると、今がチャンスとばかりに花の蜜を吸いに
 キタテハシマハナアブが来ていました。
  キタテハはこのまま秋型の成虫が越冬して翌春から卵を産みます。このところは暖冬だから、冬を無事
  乗り切る成虫も多くなっているのでしょうか?ハナアブの仲間はミツバチに似ているので、怖がる人も
  多いですが、アブの仲間ですから当然刺しません。彼らの幼虫はあまり知られていないのですが、落ち葉
  などが溜まってよどんでいる水たまりやどぶみたいなところに棲んでいて呼吸のための「尾」がついている
  ウジ虫です。来年は写真を撮ってみたいですねぇ。

   
  
シマハナアブ             キタテハ        2000. 11 photo by M. Nomura