戸定の昆虫 2017-4 (10~12月)
10月からの講義とかに振り回され、更新できず・・・すいませんでした。
12月 23日(土・祝)
卒業生を呼んで、クサカゲロウの越冬採集のコツを教えてもらいました。林の中の照葉樹を
スイ−ピングしていましたが、それなりの成果があり、良かったです。供試虫に使う虫は採集した
ので、それ以外の昆虫を・・・
チャバネアオカメムシとかは落ち葉の下とか隠れるので、越冬個体を見ることはほとんど無いですが、
アオクサカメムシは葉の裏にいる個体も多いのか数匹見つかりました。色も夏の間と全く変わらなくて
鮮やかでした。
他の樹にもいたので・・・
エサキモンキツノカメムシも落ち葉とかにいるイメージでしたが、このように葉裏にもいました。
今回の写真は捕まえた個体を逃がしての撮影なので、ほとんどが自然のものではないことをご了承
下さい。
オオクモヘリカメムシかと思ってあとで調べたら、ミナミトゲヘリカメムシでした。その名の通り
南方系のカメムシと図鑑にはありましたが、キマダラカメムシ等と同様に温暖化によって北上している
のだと思います。しかも普通に関東地方でも成虫越冬できるようなので、分布もどんどん広がるのかも
しれませんね。
アミメクサカゲロウも成虫越冬だったんですね!これも何匹も見つかりました。華奢な体つきなので
まさか成虫越冬とは思わず・・・でも他のクサカゲロウの仲間も皆か弱い体つきですね・・・
これは、ミドリヒメカゲロウというヒメカゲロウの仲間ですが、これも結構見つかりました。卒業生曰く
「夏の間は見つからない」ということでしたから、採集するなら今でしょうけど、研究するにはなあ・・・
特に応用的には難しいので、テーマにするにはまだ先か・・・
初夏にケヤキについていたヤノナミガタチビタマムシがケヤキの樹皮下で越冬していました。こうして
見るとやや凹んだところにいますが、これはそういう場所を選んだのか、自分で掘ったのかは不明です。
モミノキ的な樹には、クモヘリカメムシがいました。赤い単眼が印象的です。
そしてここにもミナミトゲヘリカメムシが・・・見つけたときはオオクモヘリとクモヘリが同じ樹に!
と感激したものの、思い違いでした。腹面はきれいな青リンゴ色です。
年が明けたらまた採集してみたいと思いました。
12月 22日(金)
圃場の高橋さんが、アカホシゴマダラの幼虫がいるエノキの存在を教えてくださいました。
ゴマダラチョウと違って若齢で休眠のシグナルを感知しないようで、体色は青いままでした。寒さに
じっと耐えているようで・・・
ちょうど物置の陰になる場所で、葉もそれなりに残っていますが、葉の上でも越冬しています。でも
よく見ると葉柄のところに糸を張って葉が落ちないようにしています!まあこれで大丈夫だとは思いますが、
あとは寒さにどれくらい耐えられるのかですね・・・もとはいなかったところに進出した生物の苦労が
感じられます・・・ちなみに若齢幼虫なら越冬できるようなので、分布が広がっているわけです。
ちなみにこのエノキは、相当アカホシゴマダラが産卵したくなる樹のようで、蛹の抜け殻がこの写真でも
10個ありますが、その他にも5個ほど見られ、あまり大きくない樹だけどよく葉が持ったなという感想と
全く寄生者が見られない(少なくても蛹から脱出するものがいない)のも驚きでした。
11月 29日(水)
言い訳ですが、10〜11月は講義が多く昨年していなかった分、準備も大変で例年だと写真は撮っていても
アップロードができなかったのですが、今年はほとんど写真も撮っていませんでした。講義が終わり委託試験の
検討会が終わったところで、ふと天気も良いから外に出たくて学生に声かけたら、大勢がついてきてくれました。
パワハラになっていないことを祈ります・・・
校舎を出たところでヤマトシジミが日向ぼっこをしているところを学生が発見!目が多いと助かります。
きれいなオスだったので午後の日差しに輝いて美しく見えました。
地面の上でクロスズメバチが、何かの幼虫の死骸をかみ砕こうとしていました。悪戦苦闘していたのか
寒くなって動きが鈍いのか、仕事は捗っていませんでした。
越冬に入るところという感じで、サクラの幹にヨコヅナサシガメの幼虫がいました。
と思ったら他の樹の孔のようなところには、びっしりと幼虫がひしめいていました。ちょっと
見ただけでは、何かわかりませんね・・・
他研究室の調査か何かで、地面に掘った穴を塞ぐようにベニヤ板をかぶせてありましたが、
それをめくってみたら板に産卵しているカマドウマを発見!でも調べたらカマドウマには斑紋が
無いようで、クラズミウマという種類っぽいですが、判然としません。
クワカミキリが寄生菌にやられて死んでいました。学内でも冬虫夏草的なものが見られて嬉しい。
ちゃんと探せばもっとあるのでしょうけど、これまで真面目に探していないので、いつか調査したい・・・
きれいなツチイナゴがいました。この時期だとまだ姿が見えますが、越冬状態になると草の奥深いところに
行くのか、どこかに潜るのか?全く姿が見えず、また4月になるとよく目につきます。
まだコオロギもいました!生息場所からしたら、ハラオカメコオロギかなと思いますが・・・タンボオカメ
コオロギやモリオカメコオロギとの明確な違いは無い感じで・・・直翅目は亜種やもっと下のレベルかも
しれない個体群の扱いが種になっているので(個人の感想です)、直ぐにこの種だと言えず困ります・・・
触角をつなぐような白い線が目立っていました。図鑑ではこの角度の写真はないので、ちょっと新鮮でした。
「雪虫」というと北海道など雪国で有名ですが、分布的には北国だけではないので姿を見ることができます。
でももっと山の中にいるのかと思っていたのですが、ふわふわ綿毛の虫が飛んでいてびっくり!学内にも
いるんですねえ・・・ちなみにこのアブラムシはトドノネオオワタムシだと思われます。これについては
他に似た種はいないのですが、自信が無いので・・・
見たことのないような植物に、普通にアゲハチョウの幼虫がいたのでびっくり、調べたら地中海原産の
ミカン科の植物、ヘンルーダというものであることがわかり、納得しましたが、これからこういう植物を
植えておくのも、チョウを呼ぶ庭にするには良いのかもしれませんね!具合が悪そうにしていた幼虫も
部屋に入れたらすくすく育って蛹になりました。でもこうして蛹になれないようなことも野外では起こる
んですね・・・この植物に関係するのではないと思いますが、気になりました。
でもミカン科の名称はヘンルーダが模式種になっているそうで、ある意味由緒正しい種なんですね。
校舎裏の街灯付近に蛾がいたので撮影しました。
シャクガの仲間ですが、直ぐにわかりそうなものの、時間が無いのでまた改定します・・・
これはウリキンウワバです。晩秋とかでも普通にいます。まや秋になるとウリ以外の植物に
ついていて驚きます。これまでキャベツとかには普通にいましたが、キリにもいるそうで
一度見てみたいものです・・・
これはニトベエダシャクです。この時期に出てくる蛾ですけど、生活史は卵で越冬して春に孵化した幼虫は
初夏の頃には蛹になりますが、そのまま長く寝てこの時期に出てくるようです。いろいろな生活史があるもの
ですね。
これはかなりボロ個体です・・・種名わかるか・・・わからなかったらすいません。
11月 4日(土)
洗心倶楽部(宿泊施設)を利用した卒業生から「今頃アブラゼミがいます」と連絡があり、取材しました。
美しい個体なので、このところの暖かさで羽化した個体かもしれません。他に鳴く個体もおらず、
相手は見つかったかしら・・・
10月 24日(火)
柏の葉のセンターの人が、同定依頼があった蛾の幼虫を持ってきてくださいました。同定は完了していましたが、
ハマオモトヨトウという蛾で、図鑑等だと暖地性の種です。ヒガンバナ科の植物を食べるそうなので、ちょうど
出ていた彼岸花の葉を与えたところ元気に成長しました。
あまり目にしない色合いですね・・・球根部を食していたそうですが、普通に葉を食べました。
やや獰猛な顔をしています。彼岸花は有毒なアルカロイドを持っていますから、このむしろ目立つ
色彩は、「自分も有毒だ」というアピールにになると思います。
その後11月23日(木)に羽化したので、その個体の写真も撮りました。
成虫は渋いですが、ピンク色の斑紋は他には無い色に感じました。