戸定の昆虫 2018-1 (1~3月)


 今年はじっくり仕事したいものですが・・・本年もどうぞよろしくお願いします。


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  3月 14日(水) 

  再び寒い日が多かったので撮影もしておりませんでしたが、このところ一気に暖かくなっています。
 忙しいものの、3時頃から学生と外に出てみました・・・
  
  すでにナナホシテントウは活動していました!でもナミテントウはほとんどいませんでした。
  
  カラスノエンドウには、エンドウヒゲナガアブラムシかな?というアブラムシも増殖中。ナナホシテントウが
 盛んに食べに来ています。
  
  ノイバラ系のバラにもアブラムシ(イバラヒゲナガアブラムシ)とナナホシテントウが・・・
  
  圃場のバラの新芽にも、イバラヒゲナガアブラムシが出ています。
  
  シャリンバイのナシミドリオオアブラムシを学生が探し出してくれましたが、なんと卵から孵化
 している感じでございます!このアブラムシは秋に?産卵して春に孵化するんですね!教科書通りの
 生活史を送っているものを初めて見た気がします。今度は秋に卵を撮影してみたい!
 
  
  クロスジホソサジヨコバイがいました。成虫越冬なんですね。図鑑にも「一年中見られる」という
 記述がありました・・・こうして拡大すると色味が鮮やかです。また翅の先の黒点が眼に見えますね。

  クロヤマアリの巣の周辺で引っ張り合いのような光景が・・・
  
  他の巣のアリが近くに来てしまったのかもしれません・・・同じ種でも体表の炭化水素の組成が違うと
 こんな事になってしまうので、社会性の世界は厳しいですね・・・
  
  マルツチカメムシかなという個体がアリの巣近くにいましたが、アリに襲われそのまま巣に入って
 しまいました。もしその種だとすると普段は土の中にいるようなので、越冬明けに移動中だったのかも
 しれませんね・・・妙にトゲがあるのでありに打ち勝てれば良いが、ちょっと難しいかな・・・

  こうして暖かくなったので、いよいよ春に向けて写真活動も本格化しなければと思いつつ・・・
 どうも毎日忙しい・・・でも頑張ります。 

  2月 20日(火) 

  2月に入ると修論や卒論でバタバタしているため、更新できませんでした。その修論や卒論の発表会も
 終わったので、次年度の準備のために房総は清澄方面に向かいました。チョウの生息地の調査でしたが
 数年前の大雪により木が倒れ、昨秋の雨で流されていたので、私は初めて行ったのですが、昨年とも
 状況は変わっているようでした。
  4月とかにそのチョウの写真を出したいと思いますが、比較的暖かだったものの今日はまだいないので
 他の昆虫と思ったが、意外に見られず・・・唯一の写真ですが・・・
  
  倒木上でひなたぼっこするオオクロバエと思われるハエです。真っ黒で大きく丸い感じで威圧感が
 ありました。彼らも成虫越冬なんでしょうけど、この体色だと熱を吸収しやすいので冬場には適して
 いますね!夏は個体数が少ないようなので、何となく頷けます。

  2月  

  ネタがないので研究用の写真を一つ・・・
  
  幼虫時代はアブラムシを摂食する肉食性のハエです・・・
  
  成虫は ハエ と言うより カ みたいですね。ショクガタマバエでした・・・

  1月 27日(土) 

  毎年恒例のフユシャク観察会ですが、昨年は野村が海外だったので2年ぶりの開催となりました。
 場所はいつもの生田緑地ですが、時期が遅くなったので種数が少なく残念でした。

  ちょうど今の時期にふさわしい写真から!
  
  雪の上にとまるクロテンフユシャクのオスです。写真に撮ったオスではこの個体だけがクロテンフユシャク
 でした・・・あとは、ウスバフユシャクです。
  
  羽化して翅を伸ばしているウスバフユシャクのオスがいました。黒い点は目立つものの、外横線がほぼ一直線
 なので、恐らくウスバフユシャクでしょう。
  
  これは黒い点が目立たないのでウスバフユシャクと断定しやすい個体です。
  
  これは黒い点がありますが、やはり外横線の特徴で判断するならウスバですね。前脚に毛の束がありますが
 (右前脚の転節の部分が膨らんでいるのがわかりますか)、その毛を使って触角を掃除しているのがわかり
 ました。左足で触角をしごいています。性フェロモンを感知する触角をきれいにすることは重要なんですね。
  
  これも黒い点がはっきりしていますが、ウスバですかねえ・・・山に行けばフタスジフユシャクというのも
 いるそうですが、そんなに高いところではないし・・・でもそういう分類はともかく、こんな寒い夜にたくさんの
 個体が飛んでいるのを見るのは・・・生命の力強さも感じ、純粋にいつも感動します。
  
  クロテンがあまり出ていないとなるとこれはウスバフユシャクのメスなのでしょうか。メスは特徴がなく
 同定は難しい気が・・・
  
  
  メスもかなりの数が出歩いていました。種は断定できませんが、ウスバフユシャクのようです・・・
 
  そして交尾個体も少しですが見られました。
  
  オスが翅でメスを隠していたので横からの撮影。ウスバフユシャクだと思います。
  
  ここにも交尾個体がいましたが、オスが羽化不全のようです。こういう個体でも交尾に至ることが
 できるというのも驚きです。全体に黒っぽいですが、これもウスバフユシャクなのかしら・・・」

  個体数は少なかったものの別種のメス個体を・・・
  
  ナミスジフユナミシャクです。この種も数は多くなくても安定してみられます。なぜか下を向いて静止
 してしまいましたが、コーリングではないから隠れたのか?

  では他の昆虫も紹介します。
  
  学内では一度みたものの、久々に見たウラギンシジミの越冬個体です。見られて嬉しい!
  
  
  成虫越冬状態ですが、体色も緑色からこんな色に変わっているのでどこかに隠れれば良いのに
 毎回人目につくところにいることが多いヤマトクサガゲロウです。興味深いですね。
  クサカゲロウつながりで・・・
  
  カオマダラクサカゲロウの幼虫が木の幹にしがみついていました。成虫で越冬している個体もいるので
 特定の休眠ステージがないようです。少し調べてみたいものです・・・
  
  
  サクラの木の洞にいたヨコヅナサシガメです。大きな集団でした。
  
  最後はこれぞ「フユシャク}という写真を・・・
  
  冬にいるシャクガの幼虫、こちらの方が冬にいる尺取り虫で立派なフユシャクという気が・・・

  次年度は早めに行くとともに、今度は場所を変えてみようかなと思っています。興味ある皆様、来年も
 よろしくお願いいたします!

 1月 25日(木) 

  寒い寒波の学内を少し探し回りましたが、やはり越冬している昆虫を見つけ出すのは難しい・・・ 
  
  まだ残っている雪を背景にしたハラビロカマキリの卵囊です。わかりやすいところに
 産んであったので、春になったら孵化を観察したいものです。

 1月 24日(水) 

  気分転換に学内を歩きました・・・でも何も見つからず・・・昨年も撮影した・・・
  
  ヨコヅナサシガメたちですが、密集していてかなり詰まっている感じですね・・・
 歩き回っているのはチョウを見つけたいからなのですが・・・明日も少し歩く予定です。

 1月 12日(金) 

  高尾の多摩森林科学園でOB有志による「越冬昆虫観察会」がありました。人生初発見のものもあり
 本当に感動しました!
  
  まずは本日の観察会のきっかけになったタテジマカミキリの成虫越冬です。こうして見ればわかり
 ますけど実際は枝にフィットしていて見逃してしまいます。見事なカモフラージュです。
  
  上から見るとこんな感じです。自分の体が入るところをかじって掘り下げているのがわかります。
  
  良い天気でしたので、青空とカクレミノの葉を背景に・・・

  冬の間、カエデの葉は落ちてしまいますが、なぜか1枚だけ落ちずに残っています。しかも葉柄の根元
 (枝から葉が出ているところ)を見ると、糸でくくりつけられたようになっています。どういうことでしょうか?
  
  実は木の葉の巻かれた中にミスジチョウの幼虫が入っているんです。しかも幼虫は葉と同じ色で隠れて
 いるから上の写真ではよくわかりません。
  位置を変えて中をのぞき込むように撮影したら体の一部が見えました。胸部の角がわかりますか?
 かなりハードル高いですが・・・
  

  他の樹に付いていた葉では、外側に幼虫がいたので、よくわかります。  
  
  葉と同じ色なので、どこにいるのかわかりにくいですが、下の方にいますね。頭部を下にしていて
 下を向いているので頭部は見えませんが、角の部分が赤いのでそこが幼虫とわかると全体がわかります。
 春になると体色が変わるのでそんな写真も撮りたいものです。

  園内を散策していると・・・
  
  これまで、ずーっと探していた!といっても過言ではない、チョウの成虫越冬が・・・

  
  キタキチョウの成虫越冬です。しかも雄雌2匹が一緒に越冬していました。これは下にいたメス個体です。
  羽化したてのような美しい個体で感動しました。
  
  こちらはメスの上にいるオスです。少し翅が欠けていましたが、それでもきれいでした。越冬中であるかは
 触角を翅の下に入れていることで判断できるかもしれません。
  いやー本当にうれしかったです。
  
  
  こちらの幼虫越冬は、休眠というより寒さに耐えている感じのアサギマダラです。キジョランの葉裏に
 いて寒いのに餌を食べたりしています。この写真は葉をかじっているところで、右下のように円を描く
 ようにかじっているのだと思います。
  
  こちらは円状にかじって少し摂食して休んでいるところかな・・・
  
  円状の中を摂食後、他の葉をかじるべく移った個体のようです。まだ小さいからまたは気温が低いから
 摂食量が多くなく、そのうち葉が劣化したから移るのでしょうかねえ・・・あくまで個人的な考えです。

  最後はこれまた初めての3ショット!
  
  エノキの木の下で落ち葉めくりをすると、オオムラサキやゴマダラチョウの幼虫が確認できますが、
 一番上がゴマダラチョウ、右下のオオムラサキとともに左下の緑がかった個体はアカボシゴマダラです。
 1本の木の下に3種ともいるとは!
  アカホシゴマダラは1月15日付で「特定外来生物」に指定されたそうです。そうなると許可なく
 飼育とかができなくなるので、注意が必要です。

 1月 1日(月) 

  ちょっと用事があって大学に行ったので、エノキにいるアカホシゴマダラの幼虫を
 見に行きました。無事に年を越せているでしょうか?
  
  昨年28日の時点では幹にも1匹いたのですが、今回はみられず・・・葉にいた個体も葉ごとなくなって
 いたので、やはり木の上の幼虫は生き残るのが大変ですね・・・そんな中、1匹の幼虫は何事もなかった
 ように無事に年を越していました!おめでとうございます。このまま春まで持ちこたえてくれるので
 しょうか?・・・
  どうぞ本年もよろしくお願いします。  


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