戸定の昆虫 2014 New York 特別編


2014年7〜9月へ


  さらにまた一転、今度は海外、それもニューヨークにいきました。魅力的な街でした・・・。


9月 14日(日)

 到着してニューヨーク在住の後輩と待ち合わせ、時差ぼけを治すということで植物園に行きました。

 
 BronxにあるNew York Botanical Gardenです。大きな立派な植物園でした。

 
 花が咲いていますから、チョウも来ていました。セセリチョウがいました。手持ちの図鑑は
わかりにくいのですが、Zabulon Skipper (Poanes zabulon)に似ています。この種は斑紋に
変異があるようなので、確定はできませんが・・・分布域も違う感じで・・・
 
 これもセセリチョウ、日本のダイミョウセセリに近いものだと思います。調べたら Wild Indigo
Duskywingという名でErynnis baptisiaeという学名のセセリチョウでした。図鑑では米国の
セセリチョウはFolded-winged SkippersとSpread-winged Skippersに分けられていました。
イチモンジセセリのように、とまるときに翅を閉じるタイプのものが前者で、ダイミョウセセリ
のように、翅を開いてとまるのが後者というわけです。日本ではこういうグループには分けて
いないですね。

 
 下の黒いハチはハラナガツチバチに近い種類でしょう。右上の黄色と黒のボーダーですが・・・
 
 なんと!カミキリムシでした。ハチへの擬態!凄すぎます。これはLocust Borerという英名で、学名は
Megacyllene robiniae です。持っている図鑑には体の中央に”W”がある、なんてどうでも良い記述が・・・
個人的にはハチへの擬態に感動しましたが・・・そういう紹介をしているサイトもたくさんありました。

 
 これはオオカバマダラが食草にしているMilkweed(トウワタ)です。残念ながら
幼虫はいませんでした。もう移動の時期ですものね・・・
 
 その代わり?このMilkweed bugがいました。2種いるらしく、こちらはLarge Milkweed Bug
(Oncopeltus fasciatus)でした。オオカバマダラ同様、このカメムシもこの警告色が示すとおり
体内に毒を持っているのでしょう。

 
 園内にはリスが多くいました。木の実をため込んでいるのでしょう。

 
 青い胸部ですが、腹部が真っ黒で、日本では全く見ない色合いのイトトンボです!手持ちの図鑑で調べても
ここまで腹部が真っ黒の種がいないので、腹部先端がやや青いことから、これから先端部が色づくのかも
しれません。そうなると未成熟だから同定は難しいかもです・・・でも素晴らしい!

 
 コオロギもいましたが、この子も名前不明です。

 
 最初に見たZabulon Skipperと思われるセセリチョウです。これはかなり多く見られたので、分布が
広いならこれだと思うのですが・・・。

 
 このマルハナバチもたくさんみられたので、名前を知りたい。

 
 これは新たなセセリチョウのようです。Silver-spotted Skipperという名がついていました。
学名はEpargyreus clarusです。

 
 この花は、口吻が長いスズメガのためにこんな長い筒状の花になったと思うのですが、ずるい
ハチたちは、横から花にかみついて蜜を横取りしているようです。これはセイヨウミツバチ。 
 
 こうして横からかみついて蜜を横取りしています。
 
 マルハナバチも同じように横取りしています。
 
 
 いろいろな花にこのマルハナバチが来ています。

 
 ところがこのマルハナバチをスズメバチが襲ってしまうという場面に遭遇!カモにされているのか、
動きが鈍いのか・・・自然の厳しさを垣間見ました。しばらくかじってスズメバチはマルハナバチを
持って去っていきました。

 9月 15日(月)

 少し仕事して夕方は散策できたので、南の方に行きましたが、なんとオオカバマダラMonarchに
会いました!
 
 
 もう移動しないとならない時期だと思うのですが、休息してそして南方に飛び去っていったので
移動の途中なんでしょう。無事に越冬地にたどり着けますように!

 9月 17日(木)

 昨日は昆虫の写真撮っていないので、一日おいての写真です。行ってみたかったHigh Lineに行きました。
廃線になっていた高架貨物線跡地を散歩道的に再開発して、市民の憩いの場になっているところです。
都市公園として整備されて、付近も活気が出てきたと聞きますが、自生種の植物を植えていますが、
昆虫はどうなんだろうと思ったので・・・

 まずはハイラインそのものを紹介いたします。
 
 こちらが南端になります。高架の上の植物がある部分がハイラインで、1マイルほど続きます。
ハイラインをまたいで建っているホテルもありますが、高すぎて宿泊できません(笑)では上に
上がってみましょう。
 
 人々の憩いの場になっています。
 
 道幅が広いところと狭いところがあって、その分植物がたくさん植わっている所や
樹が植わっていたり草原だったりと・・・いろいろ変化があります。さすがのデザイン
だと感じました。ニューヨークに行った際は皆さんも是非どうぞ。

 それで昆虫ですが・・・あまり多くありませんでした。
 
 自生植物ということで、Milkweedも植栽されていましたが、そこにはやはりLarge Milkweed Bugが
いました。歩いている人たちはちっとも気にしていない感じでしたから、もっといろいろ昆虫が発生
しても大丈夫だったりするんですかね・・・日本だと虫がいたとか問題になりそう・・・

 
 あとは公園にもいたマルハナバチが花を訪れていました。
 
 セイヨウミツバチもいました。
 ということで昆虫はあまり確認できなかった、という状況ですが、また行ってみて、昆虫を探したいものです。
 
 9月 18日(金)

 街をもっと見物していたかったですが、帰る日になってしまいました。最終日はリンゴ園に行ってみました。
リンゴもみましたが、付近に昆虫がいました!
 
 McIntoshという品種が多かったです。アップルコンピューターつながりで知ってはいたものの、アメリカでは
主要な品種なんですね。
 
 アオクサカメムシ的なカメムシがいました。黄色い縁取りが特徴的です。Green Stink Bug (Acrosternum
bilare)という種で、リンゴやナシの害虫とあるので、日本でいう果樹カメムシなんでしょう。アメリカの
果樹カメムシに出会えて良かったです(笑)

 
 そして近くにいたこの幼虫は、なんと上の成虫の幼虫でした。ということは普通にこのリンゴ園で
害虫が育っているわけですね。大発生してリンゴに行くのか気になります。

 
 そしてこの幼虫はクサギカメムシそっくりです。Rough Stink Bugs (Brochymena sp.)となって
いました。

 
 石垣島でいたような細いサシガメの幼虫だと思うのですが、図鑑では種名はわかりませんでした。
いろいろな昆虫がいて嬉しくなりました。

 
 そしてこれはツノゼミの一種だと思うのですが、目立たないツノゼミなので図鑑にはなく・・・
いつか調べてみたいものです。  

 
 いました!Japanese beetleです。日本からアメリカに入った害虫ですが、ここでは1匹だけ
のんびりしていました。遠いこの地でお互い日本から来たものが出会って、なんだか感無量です(笑)。

 
 ホタルの仲間もいました。これも種名は不明です。

 
 ササキリがいました。左はメスの幼虫みたいです。右はオス成虫で鳴いていました。近づくと
鳴きやみましたが、逃げなかったので撮影できました。水色のラインが美しい種でした。

 
 チョウもいました。モンキチョウの仲間ですね。恐らくColias eurythemeだと思われますが、
わかりません・・・

 
 これはモンシロチョウでした。日本の種と同じです。というか日本へ入った種ですね。

 
 ミツバチもいました。

 飛行場に向かう途中、最後に自然園のような所に行きました。
 
 これはアオイトトンボ系のメスですが、Southern Spreadwing、Lestes australisが似ています。
日本はLestes属のアオイトトンボは4種しかいませんが、北米の東海岸だけでも図鑑に14種もいたので
羨ましいです(笑)。でもメスは似たものがいるのでこれだけだとわかりにくいですね・・・

 
 大型の寄生バチも見かけました。尾端に立派な管のようなものがあるのに、産卵管は樹に打ち込んでいる
黒くて細い方なのがおかしいです。かなりインパクトのある種でしたが、図鑑には載っていなかった・・・

 
 このハチも複眼の上下に黄色いラインがあり、印象的です。脚の手入れをしていました。

 
 観察舎にハチの巣がアリ外に巣門が開いていました。ミツバチが元気に活動中です。日本とは違う
形式の巣門でした。 ・・・・また行きたいなあ・・・


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