戸定の昆虫 2014-1 (1~3月)


 今年は皆さんにとって、私にとっても、良い年でありますように!


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3月31日 (月)

 3月は海外出張があったので、帰国後が慌ただしく、そのまま学会になってしまい、更新できません
でした。海外の写真は後日出す予定です・・・

 もうすっかり春になり、桜も満開です。
 

 早春から活動する、ヘリグロテントウノミハムシが、ヒイラギモクセイにみられました。
 
 
 テントウムシに似ていますが、一回り小さく、触角が大変長いことが特徴です。
 休止していると触角をしまっているので、写真を撮るときには気をつけないといけません。

2月 25日 (火)

 寒いし忙しいので、ほとんど外に出ませんでした。今日はこれまでより暖かくなったので、ちょうど
入試で学内の人も少なく、圃場で撮影しました。昆虫はいるかなと出ましたが・・・
 
 冬の風物詩的なオオカマキリの卵嚢です。オオカマキリは草本に卵嚢を産み付けます。
その卵嚢の産み付けている高さを調べ、「カマキリが降雪量を予想する」という発表が話題に
なりましたが、今はその説は学術的に否定されています。ここは雪国ではないですが、
この卵嚢は地上20センチのところにあり、今年の大雪は予想できなかったようです(笑)

 
 樹上性のカマキリ、ハラビロカマキリの卵嚢はこのように樹の幹とかにも産み付けられます。
暖かくなる前に撮影して冬の写真を稼いでおけばよかったかな・・・

 
 研究室の圃場に行ったら、修士の学生が植えたソラマメにアブラムシが発生しているらしく
それを食べにナナホシテントウが来ていました。しかもちょうどクロヤマアリも来ていて
もうアリも活動し始めたのか!と驚きました。明日は不在なのでまた明後日探してみます。
 春の写真が撮影できて、よかったです。

2月 5日 (水)

 立春過ぎたらすっかり冷え込んでいる(笑)この頃ですが、学生と学内に出ました。越冬昆虫の観察と
写真撮影ですが、寒くてあまり成果はありませんでしたが、越冬昆虫たちです。

 
 サクラの幹の凹みの奥に、ヨコヅナサシガメたちが身を寄せ合っていました。このところ寒いので
奥に入っているようでした。
 
 プラタナスの木に皮をはがすと、プラタナスグンバイが越冬しています。こうして多くの個体がいるところもあれば、
 
 2匹だけとか、少ない場合もあります。ここではクダアザミウマ?の仲間2匹と同居していました。アザミウマの
配色が鮮やかです。アカメガシワクダアザミウマの幼虫に似ていますが、そうだと幼虫越冬なんですね・・・

 
 サクラの幹にまだ、セミの抜け殻が着いていました。風の強いときもあっただろうに、びっくり・・・
季節のアンバランス感がありました・・・

1月 21日 (火)

 学内のゴマダラチョウは、少し探したぐらいでは見つかりませんでしたが(笑)圃場の高橋さんが
すぐに見つけてくださいました。
 自力で見つけたものではないですが、写真を出します。次は自分で見つけたものを出そうと・・・

 

1月 19日 (日)

 タテジマカミキリが越冬しているという情報を入手して、OBのK氏とともに、高尾に向かいました。そして合流した
T氏とともに観察会となりました。冬の観察会も良いものですね。楽しかったです。

 
 カクレミノの枝に、しがみついて越冬しているタテジマカミキリ。こうしてアップにすればわかりますが、遠目には見つけにくいです。
 
 同じ個体を横から見ていますが、体の部分の枝が細くなっているのがわかりますか?この凹みは、なんと
カミキリムシが自分で削っているのです。こんな労力を使って越冬準備をするなんて・・・しかも風雨に曝されっ
ぱなしのこの状態とは・・・とても感動しました。他でも探してみます。でも園芸のカクレミノを見に行きましたが、
伐採されていてがっかりしました。タテジマカミキリはいないかもですが、普通の樹も残してほしいものです。

 チョウの冬越しを見てみましょう。
 
 園芸ではゴマダラチョウや最近はアカホシゴマダラの越冬がみられますが、高尾ではいきなりオオムラサキの越冬が
見られました。久々にオオムラサキの幼虫越冬をみました。では今週は園芸でも観察しますね。

 幼虫越冬の2種目は、このチョウです。
 
 キジョランの葉に穴があいています。
 
 もちろん、アサギマダラの幼虫です。この個体は、15mmくらいと、見つけた他個体より大きかったです。
下にある脱皮殻はヨコバイとかのものでしょうか・・・
 
 この個体は、上の個体より1齢若いです。あいている穴は古そうで、摂食はしていないと思われました。
 
 しかし、別の個体の近くにあった穴(右上)は、新しめで、暖かい日は摂食するのかな、と思いました。
 
 そしてさらに別の個体のように、自分の周りにかみ跡をつけているようなのもいました。暖かいときはこうして
摂食の準備、もしくは摂食そのものをしているのだと思います。また観察しにいきたいなあ・・・
 アサギマダラは成虫の移動が有名ですが、こうして幼虫で越冬していることはなかなか出ていないので
紹介しました。

 蛹での越冬も紹介します。これはガですが、硬い繭に覆われています。
 
 イラガの繭です。どうしてこんな模様ができるのか、不思議です。
 
 そして、成虫越冬は・・・
 
 ウラギンシジミがいました。じっとしていて全く動きませんでした。
 
 こちらの個体は、枯れ葉につかまり、路上に落ちていました・・・どういう経緯か知りませんが
こちらもじっとしていました。無事に冬越しできると良いのですが・・・ 

 落ちているというつながりで・・・
 
 路上にカメムシが落ちていました。恐らく木の上などの越冬場所から落下したと思いますが、
風かな・・・ツヤアオカメムシのように思えましたが・・・

 
 ヌルデの木の下に、虫こぶである「ヌルデミミフシ」が落ちていました。中にいるヌルデシロアブラムシは
秋にこの虫こぶから脱出し、コケに移動して、春にヌルデ戻ると本にありましたが、虫こぶは壊れていません。
 
 それであけてみたら、中にぎっしりとアブラムシ(ヌルデシロアブラムシ?)が入っていて、しかも生きています。
もしかしたら、このまま春まで虫こぶにいて、そのままヌルデに戻るという個体群もいるのかと、思いました・・・
まだまだわからないことだらけなのかもですね・・・

1月 12日 (日)

 フユシャク観察会は、観察できた個体が多く嬉しかったです。まずは、ナミスジフユナミシャクのメスが迎えてくれました。
 
 メスに少しだけ翅のあるタイプです。
 山頂に登っても、個体数はそう多くないものの、メスは見られました。
 
 樹皮や竹の柵にもいました。
 
 コーリングするより、飛びたがっているように見えました。

 暗くなるとウスバフユシャクがたくさん出てきました。あちこちで交尾しています。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 多くの個体は、竹の柵で交尾していましたが、サクラの樹にもいました。
 
 
 産卵を終えたのか、腹部が小さくなっているメスもいました。

 一方でオスはたくさん飛んでいました。
 

 ナミスジフユナミシャクのオスかと思いましたが、ちょっと濃い色をしていますね・・・誰かな?
 

 そして山から下ると、ようやく ナミスジフユナミシャクの交尾個体も見られました。
 
 

 2種の交尾個体が見られたので、満足しました。他の昆虫も紹介しますが、種名はあとで書き足します。

 
 毎年見られるヤガと思いましたが、昨年同定したヨコスジノコメキリガではないですね・・・調べると
テンスジキリガというのが、一番近いです。そうだとすると成虫越冬ですので、キリガの仲間は秋から
冬に出るものが多いですね・・・

 
 この子は初めて見ました。斑紋も特徴的なので調べたら、元スギタニモンキリガと呼ばれていた種でした。
いまはスギタニモンキリガが3種に分かれていて、スミレモンキリガとヤマノモンキリガとスギタニモンキリガ
になっています。で、この種は何だというと・・・この写真からは、翅の亜外縁線上の黒点が2点明瞭などの特徴で、
ヤマノモンキリガなのだと思いましたが・・・。幼虫はツバキ類の花?を食べるそうです。その写真も撮りたい!
成虫は10~11月だそうですが、生き残ると1月までいるとありました。フユヤガですね・・・

 
 枝に化けているつもりでも、柵の上からだと目立ちます(笑)幼虫越冬で、これは終齢幼虫ではないので、
ちょっとわからないかもしれません・・・調べてみますね。
 
 これは、昨年も写真を出したキドクガですね。幼虫越冬ですが、どうしてこんな柵にいるのかな・・・

 
 成虫越冬のカオマダラクサカゲロウです。ヤマトクサカゲロウと違って冬でも緑色です。  

1月 7日 (火)

 次年度の卒論のテーマで使う竹筒を作製していますが、細い竹が少ないので近くの森からいただいてきました。
たくさんいただき、学生が加工していたところ2種のカミキリムシが出てきたそうです。
 
 これはハイイロヤハズカミキリのようですね。こぶが特徴的です。触角が複眼の前を覆っているので前を
見づらいのではないかと思ってしまいます。5~8月に現れるというのにもうこの時期に羽化しているとは
びっくりです。
 
 こちらも5~6月に現れるベニカミキリですが、図鑑によると、一年目は幼虫で越冬、翌年の8~9月に
成虫となるが、そのまま竹内で越冬して、翌春に出てくるという生活史だそうです。ということはもう成虫
になって4ヶ月くらい経っているわけです。余裕のある生活史ですね。

1月 4日 (土)

 ベランダの植物に虫がいると相談を受けました。実物を見せてもらったら、なんとキンウワバの幼虫です。
おそらくはイラクサギンウワバかなと思いましたが、高層マンションだったので地上より気温が高く生き延びた
のかなと思いました。幼虫だけもらってきたので、育ててみます。羽化した個体を見たら、イラクサギンウワバでした。

 
 しかしこの異様な形の植物は何だろうと聞いてみると、七宝樹というものだそうです???でもキク科の
Senecio属(セネシオ or セネキオ属)に属する多肉類のようです。こんな形でキク科とは・・・どこに幼虫が
いるのかわかりますか?

 
 拡大した写真です。ストロボがなかったからややピントが甘いですが、
キンウワバですね。こういう植物にも産卵するとは・・・さすが!
キンウワバです。後日羽化したらイラクサギンウワバでした!

 では本年もよろしくお願いいたします。


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