戸定の昆虫 山梨 特別編


2012年7〜9月へ


  供試虫の採集もかねて恒例の観察会に行きました.最終日が雨だったので、2日間の記録です.


月 4日(土)

  車で渋滞などもありましたが、宿に着きました.付近を散策してみました.


 色合いが違いますが、2匹ともアオクサカメムシかな・・・野外で見るとあまりそう見えない(笑)


       
 この肉食性のカスミカメムシはモンキクロカスミカメでした。ゴミを食べているように見えましたが、
 
  横から撮影したら塵を載せているクサカゲロウの幼虫を捕食していました・・・動いているから
 狙われたようですね。

 
 この個体はアブラムシを吸汁しています。アブラムシの角黒い状管から、褐色の警報フェロモンが
出ていますね。こうして周りの個体に危険を知らせます。

 
     この場所にだけ、4、5頭のモンキクロカスミカメがいました。山地性だそうです。

    
 アキツアカネとかより一回り小さいトンボがいました。でも図鑑をもとに調べてみましたが
ナツアカネのようですね。避暑に高地にやってきた個体ということかな・・・

   
     イタドリハムシがいました。この個体はやや黄色がかった斑紋をしていますね。

 
 ムシヒキアブが交尾していましたが、その横でイタドリハムシがとまっています。この個体は上の
個体より斑紋が小さく黒っぽいです。

      
 シリアゲムシがいました。ヤマトシリアゲのようですね。翅も痛んでいて山地とはいえそろそろ
シーズンも終わりのようです。

 夜はライトトラップをしました・・・

    
     マツノゴマダラノメイガ?かなあ・・・外観だけでは全くわかりません(笑)

  
    美しい緑色の蛾はオオアオバヤガです。ライトに光って金属光沢的できれいでした。

      
 金属光沢といえば、このオオキンウワバの斑紋もやや緑がかった金色に光っていてきれいですね。
オオキンウワバが来たので、山地的であることがわかります。

 
 対馬でも紹介したアカスジシロコケガですが、左の黒点2つがオスで、右の黒点1つがメス個体です。
何ともわかりやすい斑紋ですね。

  
 こんなとまり方をするので、シャチホコガかと思いましたが、調べてみたら色彩が薄かったものの
ツマアカシャチホコのようです。斑紋の濃さにもいろいろ変異があるようでした.

 
 ちょっと見るとラクダムシとかそんな昆虫に見えますが、実は触角の下半分に太い毛が
密集しているので、その部分も胴体に見えるわけです。コカクツツトビケラというトビケラの
仲間ですが、どうしてこんな形をしているのか不思議すぎます。

月 5日(日)

 朝起きてまた付近を散策しました。

 
 隣接しているインゲン畑がすごいことになっています。コガネムシが食べたような様でしたが・・・

 
 いたのはインゲンテントウでした。中央アメリカ原産で1990年代に日本に入ってきたようですが、
今いるのは長野県と山梨県の標高の高いところみたいです。そしてまさにその場所でたくさん見ることが
出来ました・・・

 
 こんな感じで1枚の葉にも複数いました。日陰だと表にいますが、日向では葉裏にいました。
暑いのが苦手みたいなので、日が当たることによる体温上昇を防いでいるのかな・・・

 
 幼虫は、ニジュウヤホシテントウのようにトゲトゲしています。

 
 蛹は、幼虫の殻が後ろについていますが、テントウムシの蛹という感じです。

 
 インゲンの葉よりもタンポポ系の食草ではない雑草に多数の前蛹屋蛹がついていました。インゲンでの密度が
高すぎたのかな・・・

 
 顔はかわいいですが、大発生するととでもないですね。

 やはりマメの畑でしたが、キクキンウワバが休んでいました。
 
 葉の陰になっているところでしたが、結構見つけやすい間所にとまっていました。

 
 こちらは葉裏でしたが、ウワバに慣れている学生がすぐに見つけてくれました!いつも
ありがとうです。

 宿をあとにして次の宿に向かう途中で、オオムラサキがたくさん見られるという場所に
行ってみました。1本の樹に30頭はいると聞いたが半信半疑で向かいましたが・・・

 
 こんな集団がいくつもあって30頭は軽くいる樹がありました。発生も後半なので、メスは
きれいな個体もいましたが、オスは古いのが多かったです。でもきれいな個体もいてオスの
青い色が美しいです。

 
 はじめはスズメバチがいたので、集まっていませんでしたが、去った後はオオムラサキの天下です.
スズメバチが削った穴に皆で口吻を突き立てています.
 
 上の写真を拡大するとこんな感じです.

 いろいろ撮影したので、たくさんアップしてしまいます(笑)解説はうるさいでしょうから
飛ばして(笑)ご覧ください。

 
 オスは痛んだ個体が多かったです。でも青い色がきれいですね・・・

 
 メスはまだ羽化して間もないきれいな個体が多かったです。

 樹で観察していたら、2頭のオオムラサキがやって来てとまりました。彼等は
オスとメスで、見ている前で求愛行動をしていました。シリーズでお見せします。

 
 向かい合ってとまっています。このときはオスの翅は閉じていましたが、撮影前は
開いていたかもしれません。
 
 オスも翅を開いてメスに乗りかかっています。
 
 翅を開いてお互いに右に旋回しました。オスが右に来ました。
 
 回っているので、だんだんとオスの翅が青くなってきました!オスもメスも新しい個体です。
 
 向かい合って近づきました。オスの翅が青く輝きます。
 
 さらに近づきました。
 
 またメスの上に乗ろうとしています。
 
 で、また回転し始めました。また左がオスです。
 
 オスはまた翅を閉じてしまいました。こうしてまた旋回します。
 
 慌ただしいですが、また旋回して今度はまた右にオスが来ています。また近づくかな・・・
 
 こうしてまた近づいたのですが・・・・
 
 残念ながらオスが飛去ってしまいました・・・ストロボの光かなあ・・・

 
 メスは美しい個体が多かったです。

 
 オスも少しはきれいな個体がいました。また行きたいなあと思いました。

 
 オニベニシタバが飛んできました.樹液の匂いにつられたのか?昼間でも活動するんだと
感心しました.

 
 アオカナブンが来ていました。久々に見て感動しました。

 
 ストロボだと色が変わってしまいますね。今度はきれいに撮影したい・・・

 
 この樹にはトゲアリが巣を作っていました。胸部が赤っぽくて、大きな棘があるのが
わかりますか?このアリの女王はムネアカオオアリとかの巣を乗っ取るそうです。どういう
生活史なんでしょう。すごい世界です。

 
 シマサシガメが、オバボタルらしきホタルを捕食しています。なかなか迫力あります。

 2泊目の宿は昆虫屋さんが気にする?ペンションすずらんです。一度行きたかったので
わくわくしました!昔の学生さんがバイトしていたので宿の方ともその卒業生の話題が尽きず、
挨拶が出来て大変嬉しかったです。
 
 
 昆虫館隣接で、左のような貯木場が常備されていて!カミキリムシがいました。

 
 ミドリカミキリです。こんな金属光沢のカミキリムシを見つけると嬉しくなりますね。

 
 カミキリとかキバチとか、材にいる昆虫に寄生すると思われるオナガバチや
その他の寄生蜂が多く見られました!

 
 これはあちこちにいるエグリトラカミキリのようです。

 さて、これまで見たことがなくて憧れていたカミキリムシがこの貯木場に普通にいました!!!!!
 
 ルリボシカミキリです!!ふえーん・・・こんなに美しいカミキリムシだったんですね・・・
感動してしまいました。カミキリ屋さんになってしまいそうです(笑)4匹に100枚ぐらい撮影して
いますが、少しアップしてしまいます。
  
 この個体はメスで産卵していました。玉虫のように材に産むんですね・・・色が美しいですう!
 
 
 
 
      自然界の色とは思えない!2泊してよかったと思いました!また見たいです。

   
 ハンノアオカミキリというカミキリムシも初めて見ましたが、金属光沢が美しいです。これまた感動です。
 
 夕方になって見られました!夕日を浴びて金属光沢が輝きます!カミキリ屋さんの気持ちがわかったような(笑)

 
 夕方になったら貯木の間からミヤマクワガタのメスも顔を出しました。オスはライトにはきましたが、
貯木にはいなかった

 
 花に来ていたヤマキチョウですよね?スジボソヤマキチョウとの区別がつかん(笑)

 
 裏庭の一角にスジグロシロチョウが集団で吸水していました。久々に集団吸水の光景を見ました。

 
 花の茎で休むマルハナバチの仲間かな・・・すいません・・・あとで調べます。

 夜はライトトラップでしたが、かなり疲れていて撮影はしていません。しかしセットする際に撮影した
キクキンウワバの吸蜜の様子を最後にアップしておきます。

 
 お花畑の花なので園芸品種ですが、この花が好きなようでした。何個体もいました。この個体は
きれいに羽を広げていますが、金属光沢が光りませんでした。
 
 この子も金属光沢が・・・光の位置をうまく調整しないと・・・
 
 そしてついに金属光沢が光った撮影に成功しました!でもまだ満足はしていないが嬉しいです。今年
また撮影したいものです。

 今回はオオムラサキとルリボシカミキリというあこがれの昆虫の撮影が出来、さらにこれまで狙っていたが
撮影できていなかったキクキンウワバの飛翔写真も撮れて、かなり嬉しくなる自然観察会でした。
 一緒に行った学生も嬉しそうだったので、良かったです。また皆で出かけたいですね・・・


2012年7〜9月へ