戸定の昆虫 対馬特別編
初めて対馬に行きました。供試虫の採集でしたが、いろいろ体験できてよかったです。
5月 31日(木)
長崎空港からプロペラ飛行機で対馬に向かいました。メンバーは私の他は植物の先生方2人と
うちの学生3人です。
こんなプロペラ機で対馬空港に到着しました!どんな生物にあえるかな・・・わくわく
ヤブツバキの樹に付いていたゴール(虫コブです)。ものすごく大きくてびっくりしました。
でも虫コブの図鑑にも載っていません!
切ってみましたが、中は柔らかく、スカスカな感じ・・・虫がうじゃうじゃと思ったので
やや拍子抜けです(笑)
でもあちこちにハエの幼虫がいました.まだ小さいので、これから大きくなるのか?
タマバエ関係の幼虫なのかな?今度専門家に聞いてみます.
葉裏でじっとしているハムシがいましたが、調べてみたらヤナギハムシでした!普通種でした(笑)
成熟した個体は赤いようですが、未成熟もしくはもう寿命近い個体?
対馬全島にいると言っても過言ではないこの幼虫はマイマイガの仲間的ですが、調べてみたら
クワゴマダラヒトリでした!クワに限らずいろいろな灌木を食するそうですが、対馬では
まさに全島この幼虫が覆っているようでした・・・本当にあちこちで見られました.
何か原因があるのかな・・・調べてみたいが年1化だし・・・
ヤマネコの自動撮影機がありました.通ってしまったので、何度もシャッターが切れてしまい
申し訳ありませんでした・・・
対馬にはあちこちニホンミツバチの巣箱がおいてありました.3世紀の頃から養蜂をしていたという
記録があるようです.全島あちこちに巣箱を見ましたが、でも蜂群がいる巣箱を1つも見ませんでした.
どうしてかな?ここでも農薬とかの影響が・・・とか・・・・まさか・・・
宿に着いたら、モンキアゲハがアザミの花にきていました!
夕飯後に生物が詳しい地元の方に、ゲンジボタルの見られるところに案内していただきました.
ああ!こういう写真を一度撮影してみたかったので、感無量です!!!!蛍は多いのに見る人が少ないところは
初めての体験でした・・・また行きたくなります!
こうしてゲンジボタルの写真を撮るのも初めてです.嬉しいです.
もっと腹部が光っているような写真が撮りたいですね・・・また頭部のほとんどは複眼ですね.
さらに学生が交尾個体を見つけてくれました.次のシーズンも観察したいものです.
感激して宿に戻ると宿の周りにはツシマヒメボタルがいました!
林床でたくさん光る彼らの光のショウも、ゲンジボタルとはまた違った良さがあり、素晴らし
かったです.機会があれば彼らの方もたくさん撮影したいです.
宿舎のご好意でベランダでライトトラップをすることができました。
一番目立っていたのは、このシンジュサンです!調べたら対馬型の斑紋のようです.
学生の命名で「クチビル」(笑)ベニトガリアツバです。ピンク色の美しい蛾ですね.
やや南方系で日本海側で見られるようなので、たぶん初めて見ました.食草も不明のよう
ですから、調べてみたら楽しそうです・・・
この蛾は講義で出てくるゴマダラノメイガですが、恐らくモモノゴマダラノメイガかな?
近縁種のマツノゴマダラノメイガの可能性もありますが・・・果樹害虫の写真も撮りたいものです.
アカスジシロコケガは普通種のようですが、きれいな配色ですね.
この蛾はノコバアオシャクのようです。シャクガの仲間ですが、翅が大きくくびれているので
カギバのようにもみえますね。標本になると色が褪せてしまうようで、図鑑だとこの下側の
翅のような色をしています.生きたものの情報も大事ですね.
エビガラスズメも飛んできました.この蛾もあちこちで見られる種ですね.翅の色が濃く
斑紋がはっきりしているので、これはオスのようです.
これはビロードスズメのようです。あまり見ないタイプの落ち着いた配色のスズメガ
ですね。南方系の分布域ですからこれも初めて見るかも!スズメガもいろいろ興味深いです.
これはもしかしたらオオホシカキバトモエかな?そうなら対馬に固有な種のようです.
と思ったらこの和名は今は有効ではないらしく、対馬にいるのも「カキバトモエ」だそうです。
種内変異となったようですね。ちなみにカキバとは「柿の葉」の意味でした.
大きめの蛾を乗せて喜んでいました(笑).
6月 1日(金)
植物採集に同行しながら昆虫の採集を行ったり、写真を撮影しました.
これは珍しくはないですが、アカスジキンカメムシです.
ナナフモドキが休んでいました.対馬のナナフシはどんな変異があるのかな?秋とかに来たくなります.
ベニシジミもあちこちにいる種ですが、対馬の個体は色がややオレンジ色っぽく見えました.
テングチョウもあちこちで見られました.ようやくとまってくれた個体です(笑)
産卵している個体も見られました.
色合いから古い写真のようですが(笑)、もちろん今回の写真です.チャバネセセリですね・・・
神社の境内にハンミョウがいました.横向きの写真はこれしかピントが合っていなかった・・・
正面写真は撮りたかったので、嬉しいです.各地のハンミョウの写真を撮りたくなりました.
捕まえてきた昆虫を肉団子にして持ち帰り、巣内の幼虫に与えているフタモンアシナガバチの女王
です。働き蜂が出てくるまで彼女一人での育児が続きます.
北部で記念撮影です.
道を渡ろうとしているヤマネコたちを見つけました.
宿の方のご好意で、今夜も宿のそばの川でゲンジボタルを見ることができました.
今回は数は少ないが近くを飛んでいたので、これはこれで嬉しい写真です.
今度はゲンジボタルの成虫の光がきれいに写るような技術に挑戦します.
ひっくり返るとこんな感じで発光部分がわかります.
採集に失敗し、頭部が曲がってしまい光らなくなったツシマヒメボタルです・・・かわいそうな
ことをしてしまいましたが、サンプルとして持ち帰りました.
今日もライトトラップを行いましたが、全日に比べ少なかったような・・・
一番目立っていたのはこのシロスジカミキリですね.スジは黄色で白くないのにシロスジという名前は
どうしてかと言うと、死ぬと白くなるからです.標本は白いスジですよ.
もう少し調べてみますが、これはシモフリコメツキ?数匹来ていました.
これはアオカミキリモドキのようですね。金属光沢が美しいです.でもこれはどこにでもいる
種ですね・・・
ライトトラップに来た蛾を調べています
トビケラの仲間は同定は難しいですね・・・図鑑もないし、種は不明にしておきます.
ということであっという間に2日目も終わってしまいました.
6月 2日(土)
いよいよ対馬も最終日、本来の目的の性フェロモントラップはうまくいきました!
あちこちで10匹以上捕獲できました!やった!
宿のツツジにモンキアゲハが来ていました!でも動きはせわしなかった・・・.
きれいな個体だったので、もう少しうまく撮れていれば・・・残念・・・
宿に生えていたドクダミは花が八重でした.他の場所でも普通に見られるのかな?
ジョウカイボンが休んでいました.印象的な昆虫が見られたものの昆虫との出会いは
ものすごく多くはなかったかもしれません.
宿にあった対馬の養蜂用の巣箱2種、あちこちに巣箱はありましたが、
ミツバチが利用しているところは見られませんでした.
原生林が残る龍良山(たてらさん)に登りました.
豊かな森を登ります.
「この林を測定したい!」という熱い!思いを語る梅木先生
登山中に妖精を見つけました・・・昨日はヤマネコ(笑)
あちこちにギンリョウソウがみられました。
山頂に着きました!
山頂は何種かのチョウが吹き上げられて飛んでいましたが、どれも速い速い(笑)占有行動
しているツマグロヒョウモンだけ撮影できました。
ここでも見かけました.マガリケムシヒキです.
頭部が大きくて、まるで複眼を持っているように見えます!調べてみましたが、キシタバや
クチバやアツバといった夜蛾の幼虫は頭部が大きいものがいますけど、このような配色の
種は図鑑に載っていませんでした。残念・・・
スジクワガタ?がいました。学生の手のひらを挟んで、彼女を長く苦しめていました.
シリアゲムシがいました.調べてみたらツシマシリアゲという種のようです.
もう少しうまく撮影しようとしたら逃げられたので、残念です.この個体は
メスだから腹部の末端は反り返っていません.
山を下りて平地で見つけたハムシです.きれいだったので紹介します。
クビボソハムシの仲間かな?調べてみたら.ヤマイモクビボソハムシのようです。
光沢がきれいでした。
またプロペラ機で長崎に戻ります.対馬はまた行きたいところになりました!
長崎入りしました.宿のそばに旧?出島があったので記念撮影です.
6月 3日(日)
いよいよ最終日です.今日は長崎の山を登りました.岩屋山です。
長崎産のナガサキアゲハを採集したかったが・・・
今日登る山は原生林ではなく、こんな杉林を登っていきました.
木の枝から小さなキノコが出ていました.よく見るとかわいいですね.
ヒメバチの仲間かな・・・種名まではわからないかもですが、調べてみます・・・
狩りバチのようですが、これも種未同定ですいません.管住性のドロバチかな・・・
小さかったので、はじめは下側が触角に見えましたが、写真を撮ると上に頭部があることが
わかりました!でもヨコバイ?よくわからないなあ・・・これも調べますが・・・
葉の上で丸くなる幼虫.これだとなんだかわからないから隠蔽効果がありそうですね.
蛾の幼虫ですが、これも調べないと・・・未同定ばかりでごめんなさい.
この幼虫はイボタガですね.若齢のうちはこのように長い突起があります。捕食されにくい
用な役割を果たしているのかな?
趣のある?毛虫ですが、これも種名不明でごめんなさい.
ここでもマガリケムシヒキです(笑)本当にあちこちで見られますね・・・
モリアオガエルのようですね。フラッシュが嫌そうでした.水辺に行かなかったので、
卵塊などは確認できませんでした.
幼虫だとわかりにくいですが、クダマキモドキの幼虫?眼とポーズがかわいらしい!
これはバッタの仲間ですが、やはり幼虫だとわかりづらい・・・翅芽がないのでフキバッタの
仲間だとすると(違っていたらすいません)うーん、オナガフキバッタの黒色型?(笑)それとも
ヤマトフキバッタ?・・・フキバッタは翅が短くて移動性が少ないということで、各地の個体群が
別種になって多様性を記録ということになっていますが、実際は近畿地方の種分化は妙に激しかったり
中間のものもいるようなので、細分化がいいのかどうかは意見が分かれるところですね.
今回はホタルに多く出会えましたが、これはオバボタルのようですね.胸部の赤い部分は
大きさに個体差?があるようでした。
岩屋山山頂です.ここでも多くのチョウが吹き上げられていました.カラスアゲハとクロアゲハとモンキアゲハが
結構いました.あとはツマグロヒョウモンやキタキチョウなどもいました。花にも来ていて採集もできましたが、
動きが速くて撮影は・・・・またナガサキアゲハもいませんでした・・・残念
チョウ道を飛ぶカラスアゲハやクロアゲハを学生が狙います.
ここでもモンキアゲハだけは撮影できました.ツツジの花が好きなようで、ずっと訪れていました.
このシジミチョウは後翅の斑紋がつながっている部分があったからヤクシマルリシジミのよう
です!翅表も映したかった!分布もも九州でも一部に限られているので同定が正しいなら嬉しい
です。もっとチョウの写真も極めたいなあ・・・
イシガキチョウがいると南国の気がしますね。長崎より沖縄のイメージが強い.この個体は
産卵している感じでした.
腹部の側面の形からこれはノコギリカメムシですね.幼虫かと思いましたが、しっかり
翅もありました.一部がキラッと光っていてきれいですね.
とっても上品なコガネムシがいました.片翅に6個ずつと胸部背面に5個の斑紋があるから
合計17の斑紋で、ジュウシチホシハナムグリというのだそうです.本州にもいるという話
でしたが、見たことなかったなあ・・・でもきれいでした.
アワフキムシがいたので、泡から出してみました。
幼虫からだと同定できるかな?手元に図鑑がないので、近いうち調べます.