2007年 9月12〜15日 奄美大島

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 実験材料を採集しに奄美大島に行きました。熱帯低気圧や突然現れた台風11号の影響で毎日雨が
降りましたが、幸い天気予報よりははるかに良い天気で連日お日さまを見ることが出来ました。
 供試虫の採集は詳しい人から「フェロモントラップで採らないと無理」みたいなことを言われて
いたので、マンゴー園を訪ねることとし、後はあちこち回って採集などすることとしました。
南国のチョウの写真とか思っていたのですが、日は出ても風は強いし採集することも多いからそれ
ほど多くないです(笑)。25年ぶりの奄美大島は感慨深かったです。


     
 晴れ間があれば海はこんな色になるので南国に来た感じがします。沖縄に結構行っていたのに
最近は行かないから沖縄に近い奄美大島に行けたことは嬉しかったです。

       
 まず立ち寄った道沿いの空き地ではベニモンアゲハガいたりしましたが、「もう奄美にいるの?」
と驚きました。2002年に定着したそうですね…そういうチョウは留まらないので写真はなく(笑)
じっくり撮影できるのはこの手のチョウです。リュウキュウコミスジはどこでもこんなふうにきれい
に開いて動きを止めていました。

          
 ツマベニチョウはいつも高いところにいたりですが、こうしてハイビスカスに来て吸蜜してくれる
ので撮影も可能でした。でもこの1枚しか撮っていません。もっと撮影したいものです。

     
 あとはチョウは撮れていません。左のリュウキュウアサギマダラは翅を開かないと…と思うので今回は
これだけでしたからまたの機会に頑張ります。右は今は南西諸島のチョウになりましたから本州のものとは
違う「キチョウ」です。南西諸島に行くと海岸線にキチョウがいるので本州と違うと思います。沖縄は
開発進んでいるので、奄美大島の方がいろいろ採集しやすいような気がしました。

         
 開けた場所や芝生などにいるチョウも多いです。タテハモドキはこの1匹しか見ませんでしたが、
悠然と日向ぼっこしてくれたので、簡単にアップの写真を撮ることが出来ました。

     
   
 アオタテハモドキは好きなチョウなので、オスのきれいな写真を撮りたかったのですが、彼は
すぐに他のオスや他のチョウと追いかけっこしてしまい、落ち着きありません。上の2枚は何とか
近くで撮ったものですが、満足いく状態ではないですね…左下の日齢がたった個体はすごく近くに
よっても大丈夫だったのですが…翅の状態が…(笑)まあこんなもんですね…右下のメスはオス
よりももっと警戒心が強く、ほとんど近寄れませんでした…ようやくこの程度…オスとメスの色の
違いがわかりますね。チョウはこれでおしまい…

         
 天気予報は連日雨でしたが雲の切れ間が多いからこうして虹も観察できました。もっと出ていたかも
ですが、気がついたのはこの虹だけでした…

 リュウキュウハグロトンボです。翅の付け根のブルーがとっても綺麗でびっくりします。ストロボ光だと
このブルーがはっきりします。左は留まっているススキが風に揺れて尾端がブレています。で、しっかりした
ところにいる個体を撮ったら今度は雨が降ってきてしまい、雨粒が反射しています(笑)。でも脚の毛とかが
綺麗に写っているから満足です。
         
 野生生物保護センターの止水地にいたのですが、種名が分からず…調べてみたら…恐らくショウジョウトンボの
未成熟個体かなと思います。真っ赤になってから見たいです。この色のトンボしかいなかったので恐らくメスだけ
ではなく未成熟個体だと思うのですが…詳しい人に聞いてみないと。
 聞いてみたところショウジョウトンボの未成熟個体でいいようです。でも奄美だとタイリクショウジョウトンボ
という扱いになるのかもしれないようで…外見上の違いがないから採集してこないと分からないようです。


 マングローブが生い茂る場所がありました。カヌーでツアーするような企画もあるそうですが、残念
ながら天候も悪いし、もちろん採集に関係ないし(笑)やっていません。ただ道の駅があったので降りて
みました。右のようなトビハゼ君みたいのがいるからもっと探検したらおもしろいでしょうね。


 左はハリカメムシかな・・もう一度よく調べますが…右はたくさん群れているアメンボです。一ヶ所に
固まっていましたが、どうしてかなあ・・近づいても逃げないし…はじめて見る光景でした。

  
 左は奄美大島で有名なマテリヤの滝です。そんなに大きくなかったですが、少し奥地にあって良かったです。
右はその帰り道に通った近道ではない遠回りの林道(笑)矢印で名瀬とあるから行ったのに舗装道路に覆い
かぶさる雑草や樹木…道幅は半分とか三分の一になっていて「誰か利用しているのか?」という感じ…
予定の4倍の時間かけて宿に戻りました(笑)。

 開けた土地に多いマダラバッタ。この3個体のうち1個体が他と違います。色ではなく決定的に違うのですが、
わかりますか?解答は後日!

 解答です。一番左の個体は病原菌にやられて死んでいます。真ん中は私から逃げてとまったので元気です。
よく見ると左の個体は後脚とか草につかまっていませんよね…

           
 ミカン園の下草にいました。カマキリです。でも何カマキリか分からないなあ…これまた調べないと…

 
海にも少し降りてみました。でもやはり採集には関係ないから(笑)泳いでいません。砂浜にカニがいました。
眼が大きく周りを見ていて何かがあるとすぐに巣穴に引っ込んでしまいます。かわいいカニなので写真も撮っ
てみました。


 メインイベントを一番最後にするのも…でも最終日に感動できました。立派なマンゴーハウスの外に真中の
写真のようなファネルとラップを仕掛けさせてもらいましたが、遠目には何もいない感じでした。でも中には
2匹のオスが!本当にありがたかったです。こんな強風でもやってきたオスに感謝。
 コシロモンドクガのオスは飛べないメスの出す性フェロモンが頼りですから触角が発達しています。講義でも
出す予定ですが、顔のアップ写真です。

    
 触角のクシ状の受容部位が前と後ろの2列になっていてすごいです!感度はすごいのでしょうねえ…
というわけで最後は学問的になったところで報告終わります(笑)

       
 おまけです。帰りに立ち寄ったあやまる岬です(正確にはあやまる岬から見える風景)。25年前に
国民宿舎あやまる荘という宿に泊まったので、今はどうなったのか見に行きました。
 カーナビが「目的地周辺です」と言ったところは単なる駐車場で…見つかりませんでした。ネットで
調べたらこの2年くらいで取り壊されていました。残念…25年は一昔ではないですもんね…男5人で
行った旅を懐かしみながら帰りました…今回の採集は天候はダメでしたが、学生は喜んでくれたから
良かったです。研究室のみんなであちこち行けるといいんですけどね…


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