戸定の昆虫 2006-3(10〜12月)


2006年トップ


10月3日
 ほ場で農薬の試験を行いました。久しぶりに害虫の写真などを撮りましたからアップしたいと思います。
だんだん昆虫も少なくなってくるかもしれませんが、いろいろな昆虫を気にしていきたいと思います。
 
         アブラムシのカウントをする学生たち。いつもお世話様です。

  
 秋はアリやハチの活動が不活発なためか鱗翅目の幼虫が多数見られます。キンウワバの幼虫もたくさん見られますが、
以前からいるタマナギンウワバなのか最近増加しているイラクサギンウワバなのかはちょっと見ただけではわかりません。
左の写真のようにコナガ的に薄皮を残して食害する個体も見られます。


    ハスモンヨトウも結構見られました。小さな幼虫(左)や老熟幼虫(右)の他に卵塊も見られました。
    

   ヨトウガも見られました。孵化している最中の卵塊や幼虫に葉裏に潜む成虫まで!世代が完結していました!

             
 モンシロチョウの幼虫です。たくさんいました。よく見ると黄色い斑点とかあってきれいですよ。

   
 クサカゲロウの幼虫も結構見られました。ヤマトクサカゲロウかな?アブラムシを捕食していました。

        
 今回の試験対象であるアブラムシです。ニセダイコンアブラムシのようですね。放虫したのですが、かなり
定着していました。

10月4日
 残念ながら壊滅してしまったニホンミツバチの巣ですが、内部の写真でも撮ろうかと行ってみました。
しかし迎えてくれたのは門番のようにしているスズメバチでした。私の気配にごそごそ出てきました。
まだいるとは・・・巣を乗っ取ったのではないでしょうから・・・まだいろいろ探しているのでしょうか?
これももう少し観察してみますね。

        

10月10日
 このところ忙しいのですが、少し外に出たので、写真を撮りました・・・

         
 これは今日ではなく他の日で、しかも戸定ではないところでのキタキチョウです。秋型になっていますね。
キチョウの姿で秋を知る感じかな・・・裏面の斑紋が濃くなり、表の黒い斑紋がすごく小さくなります。

     
 ケールが植わっているほ場に行くと、そばのバラの枝にモンシロチョウがいました。近づいてみると
羽化したばかりで、傍らに蛹がありました。一番近いケールからでも2mはあるので羽化時にはずいぶん
移動するものです。がんばった!と声をかけたくなる光景でした。

          
 最近、至る所で見かけるツマグロヒョウモンです。都心にもいましたし、園芸学部でも多く見られます。
メスの写真がなかったので撮りましたが、ちょっと翅が動いています。でも掲載しますね。

       
 5月ごろに鳴いていたクビキリギスの幼虫です。あと1回の脱皮で成虫になるという感じです。そして
成虫で越冬して恋の季節が5月頃になるんです。いろいろな昆虫にはいろいろな生活史があります。この
個体はメスですが、産卵管のところが隠れていて残念です・・・

        
 ずっと前からキンウワバの訪花写真を撮りたかったのですが、どうもうまくいきません。キクキンウワバ
などきらきら輝く種がいいですけど、この際何でも撮りたいと・・・でも機会がなく・・・今日は学生実験で
出かけたので、カメラ持っていきましたが、正解でした。1枚だけですが、ウリキンウワバの訪花を写せました。
わーい・・・何種か撮っていきたいです・・・

10月16日
 相変わらずバタバタしています。メールの返事が滞っている方・・・申し訳ありません・・・
今日も少しだけですが、圃場にいたので、お目当てのウラナミシジミを狙いました。ちょうどいい感じで
止まっている個体がいましたが、明らかにボロでございました・・・今回だけではなくてもっと撮りますね。

       
              緑肥植物クロタラリアで休むウラナミシジミ

10月23日
 実は19日の写真ですが、更新の日付を後にするためアップした日にしました(笑)すいません。
でもこれからも頑張りますね。

         
                   日光浴するウラナミシジミ

  ウラナミシジミはやはりボロ個体ですから今度はきれいな個体をアップしますね・・・

            
 ツマグロオオヨコバイです。イネの害虫のツマグロヨコバイと違ってこちらは樹木などについてあまり
害虫という感じではないです。よく見るとかわいい!子供の時にバナナムシと呼んでいる人が多いと聞きました。
私は呼んだことないですけどみなさんはどうでしたか?

10月29日
 柏の利根運河の環境調査に参加しました。もう秋も深まり昆虫は多くなかったのですが、いろいろ写真は撮り
ました。春や夏・・・様々な季節に出かけて昆虫観察したくなる場所でした。戸定ではないのですが、アップ
させていただきます。
 多くの市民のボランティアの方や関係の方が集まりました。
 
                    利根運河沿いを観察中

        
                  シロヘリクチブトカメムシ

 初めて見るカメムシでした・・・調べて見たら南方系の種だそうで、最近は分布を拡大しているとか・・・
チョウは目立ちますが、カメムシもそういう北上種が着実にいるようですね。このカメムシは鱗翅目の
幼虫を好んで捕食する肉食性のカメムシでした。天敵昆虫として研究してみたいものです・・・。

     
 これはミナミアオカメムシのようです。調査直前まで降っていた雨に濡れてとぼけた感じになっていました。
右はクモヘリカメムシです。イネ科の穂にたくさんついていました。

 
 クビキリギスのように口器周辺が赤いのですが、頭部があまりとがっていません・・・これはどうもクサキリ
のようですね。やや湿った草地で見られるとのこと・・・ぴったりです。今年はキリギリスの類いについて大分
わかってきました・・・

        
 そんなキリギリスのオナガササキリもいました。長い触角でした。でも後脚が取れていて残念。

     
 フェンスのカラスウリで休むツユムシです。何かを待ち伏せしているような体制でもありますね。
これでキリギリスの仲間はおしまいです。
     ← なぜか赤っぽい体色のコバネイナゴ(バッタ科)

 草地の至る所にコバネイナゴがいました。交尾個体も見つけたので写真に撮りましたが、コバネイナゴの
場合もオンブバッタと同様、右の交尾時にオスは腹部を押し下げ、下側からメスの腹部に接しています。


 オオカマキリも見られました。もうすぐ卵を産むメスです。他の場所には卵嚢も見られました。だんだん
冬支度に入っていくのがよくわかる日でした・・・
      セイタカアワダチソウに産み付けられたオオカマキリ卵嚢

      
 キク科植物のタネを食しているのはホソバセダカモクメというガの幼虫です。このど派手な色彩に
驚いてしまいます。自分は有毒だぞと言っているようですね。でも有毒ではないようです?

           
      沖縄のヤマタカマイマイのような殻を持ったマイマイもいました。種名は?

10月30日
 学内に出る機会があったので、カメラを持ちましたが、なんと緑肥植物は全部刈られてしまい・・・
もうウラナミシジミは難しいな・・・涙

         
      うどん粉病菌とキイロテントウです。久しぶりに写真撮れてうれしいです。

     これはダンダラテントウのオスです。これも久々に出会えました。

 
 コオロギの仲間をほとんど撮影していません。もう鳴き声も少なくなってしまいましたが、一応
出会えたので、撮りました。エンマコオロギのメスですね。来年にもっと撮るかな・・・

      
 ジョロウグモの網にかかっていたツマグロヒョウモンの前翅・・・利根運河にもたくさんの
ツマグロヒョウモンが出ていたそうです。もの寂しいカットだったので・・・つい・・・
いよいよ10月もおしまいですね・・・

11月 9日
 このところいろいろ用事があり写真撮っていませんでした・・・学内に出てみたところ・・・

      樹皮で休むアオマツムシ

 もう秋の虫の声は聞こえないのでいなくなったと思っていましたが、1匹のアオマツムシが
日中木にとまっていました。産卵かなとか思いましたが何もしていませんでした。

 知り合いからプラタナスにはプラタナスグンバイというのがいるんだと聞いて一緒に見てみると
園芸でも本当にひどい被害で葉が真っ白になっていました。これから注目しないといけませんね。
 またトチノキについていたキジラミ?はトチノキヒメヨコバイという種だそうで勉強になりました。
こういう新参者たちに注目していきたいですね。

   
 今は葉から樹皮に移って越冬しています。単独でいるよりは集まっていました。

 
 よくみると面白い形をしていますよね。人面みたいにも見える形態と模様も面白い!来年から
研究対象にも考えていきたいと思います。

11月 13日
 今の時期に出現するアリをご存知ですか?クロナガアリといいます。今の時期に出現する理由は
この時期に収穫する穀物(植物のタネ)を収穫するのですよ・・・ 見ていて嬉しくなりました。

  
          クロナガアリの巣  何もないところに作っていました
    
   植物の種子を運び込んでいるクロナガアリワーカー 写真撮りたかった!うれしい!

12月 6日
 やはり冬を迎え更新が少なくなってきました。というか・・・外に出ていません・・・今日は
久しぶりに出たので、幾つか写真を撮りました。


               紅葉もすっかり色づきました・・・


        ケールにつくアオムシとアオムシコマユバチの寄生(右)

 ケールを栽培しています。冬でも元気なので見に行きましたが、アオムシとかもまだまだ食害中でした。
おまけに寄生蜂もみられ、霜も降りるこの時期でも活動中です。

       
                 キンウワバ幼虫もいました

 キンウワバ幼虫もいました。タマナギンウワバかしら・・・耐寒性が高いのは3齢幼虫ぐらいといわれています。
少し詳しく調べているのでそのうち明らかになるでしょう。

      
 ミナミアオカメムシかアオクサカメムシもいました・・・どちらなんだろう???雰囲気的には
前者に見えるが・・・ケールにいましたが、よろよろ歩いていました・・・寒いからですね・・・

12月20日
 久々の更新です。今年はこれが最後ですかね・・・3年生の学生実験で越冬昆虫を観察しました。


 朽ち木を崩して越冬している昆虫を観察しました。コガタスズメバチの新女王の越冬です。今年も
多くの越冬個体が確認できました。


 コクワガタと思われる幼虫も数匹見られました。左の個体の方がかなり大きく、越冬のステージにも
差があるようです。単純に産卵の時期が異なるだけなのでしょうけど・・・

   
 メス成虫も見られました。幼虫と同じ木に潜っていましたが、親子ではないでしょう。
あ、もちろん調べたわけではないですけど・・・

    
 ハサミムシもいました!ハサミムシも木に潜って越冬していたんですね!初めて見ました。

    
          コメツキムシの幼虫ですね。種は不明です。

   
 ムカデも数匹見られました。上記の昆虫たちは皆緩慢な動きでしたが、ムカデだけは
掘り出されるとすぐに動いて逃げ出しました。寒さの適応度合が違うのでしょうか?
面白く感じました。

 夕方から生田緑地に出かけ、今年度もフユシャク観察会を行いました。

      
 このオスはクロオビフユナミシャクでした。メスは退化しつつも比較的大きな
翅を持つので、見つけたかったのですが、見つからず残念でした・・・



 このオスとメスはクロスジフユエダシャクでした。よく見るとメスには痕跡的な翅が
見られます。翅の退化度合もいろいろで楽しいですね・・・今度は1月に行くので、
大学内で興味ある学生さんは行きましょう!

   
 ヒゲの長いカメムシもいたので撮りました。普通に歩いていたので活動中なんでしょうか?
暖冬の影響ではなく冬場に活動しているような気がしました。ちょっと図鑑みましたが種名が
わかりません。あとで調べます・・・。



 今年は4月からは連続して更新することが出来たという初めての年になりました。最初に
掲載したのがフユシャクでしたので今年はフユシャクに始まりフユシャクで終わる年になり
ました。なんかいい感じですね(笑)更新が出来たのも皆さんの応援のおかげです。来年も
頑張らねば!よろしくお願いいたします。

 ではよいお年をお迎えください。

     

2006年TOP